アパート・マンションお悩み相談室

マンション管理専門の一級建築士が、住まいのトラブル事例や解決策を呟きます。

マンション管理会社の実態を暴いてみた…

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こんにちは、湯徳慎一郎です。

 

昨今、マンション業界では、管理会社への風当たりが厳しいです。

「まともに対応しないくせにお金だけ請求する」

そう思う方も多いのではないでしょうか?

 

私は5年半、管理会社に勤めていましたが、事実、私の隣に座っている担当者が、そのように吊し上げられている現場に遭遇したことはあります。

 

管理会社=何もしてくれない
管理会社=何をしているのか分からない

 

この2つの問題について、今日は実体験をもとに解説していきます。

 

 

管理会社って何をやっているの

管理会社の仕事は主に

・マンション内の清掃
・設備の点検(エレベーター、駐車場、水道、下水道など
・お金の管理 ・マンション保険の対応
・居住者間のトラブル対応
・建物のトラブル対応
・居住者間の円滑なコミュニケーション

代行する仕事です。

 

本来、管理組合(オーナー)がやることを、代わりにやることでお金をいただくお仕事です。

 

管理会社と直接接する機会は

・マンションの理事会、総会などの定期会合
・イベント
・トラブル発生時
・管理員さんにご挨拶

くらいしかありません。

 

普段は事務所で

・定期会合の資料を作ったり
・設備点検結果を取りまとめたり
トラブル対応をしたり
・修理が必要なところの見積を取ったりしています。

 

ここが1つポイントなのですが

「この担当者、全然マンションに来ないじゃん」

という場合があると思います。

 

ただし、頻繁にマンションを訪れる担当者は

・段取が悪くて訪問しなきゃいけない
・ただサボりに来ている

このどちらかなので、

マンションに来ない=仕事しない、ではないです。

中には、仕事をしないくせにマンションにも行かないやつもいますが。

 

ちなみに、私は「暇があればお客様の顔を見たい」という理由で、頻繁に担当物件に通っていました。

やはり、常に顔を見せて相談に乗っていると、仕事はしやすいです。

 

管理会社はどこで利益を得るのか?

①管理組合の事務仕事を代行する仕事
(お金や保険の管理、書類作成など)
②設備点検などに利益を上乗せする
③工事会社に仕事を斡旋して、斡旋料をいただく
④管理組合から直接、工事を受注する
⑤管理組合から直接、コンサルティングを受注する

 

概ね、この5つです。

このうち、①と②が、管理組合から管理会社に毎月払う「管理委託費」となります。

 

ただ、②は上乗せされているか、正直微妙です。

昨今、インターネットで調べれば、点検費用は出てきますから、利益を上乗せしていたらバレバレなんですよね。

むしろ、②単体では赤字になっているケースが多いです。

①と②を合わせて、大体10%〜40%が管理会社の利益だと思っていただければと思います。
※幅が広いのですが、マンションの規模によります。

 

管理会社社員の実態

箇条書きにしました。

 

・基本的には公私混同

プライベートはないです。
マンションでトラブルがあると24時間365日携帯が鳴る状態。

 

・社員のタイプは2通り

繊細すぎて、いつも心を病んでいるタイプか。
いかなるトラブルにも動じない強心臓タイプか。

あなたのマンションの担当者はどちらですか?

 

・優秀な人は入ってこない

基本的には、中途入社が多い業界。
入社条件が「未経験歓迎」も多いため、優秀な人材は入りづらい。

 

・専門分野(建築・法務)は優秀な人が多い

この2つは、素人ではできないため。
担当者はポンコツだけど、専門家は優秀、というケースもよくある。
もちろん、逆もある。

 

・給料は安い

その代わり、平日休みが取れやすい
副業OKのところも多い。

副業している人はお金を稼ぐ難しさを知っているため、オーナーや居住者目線で仕事をしてくれます
結果的に、良い担当者にあたるケースが多いです。

 

離職率は高い

給料安い土日出勤当たり前クレーム対応が多い、この三重苦のため、離職率は高い。

 

・結論

あまり優秀な人はいません
ただし、お客様に揉まれて優秀になる人はいます。

 

なぜ管理会社は対応が悪く見えるのか

こちらも箇条書きにしました。

 

・管理会社には、何一つ決定権がない

マンションは管理会社の所有物ではありません。
また、管理会社のお金を使うわけではないので、基本的には全部お伺いを立てないと、管理会社の独断では動けない

 

・マイホームを持っている担当者が少ない

家を買っている人の感覚をそもそも知りません。

 

・お金の感覚、知識が少ない社員が多すぎる。

数万、数十万といった、大きなお金を動かした経験がない方ほど、お金の提案が雑です。
そもそも、自分で大きな買い物をしたことがない方も多く、お金のありがたみが分からない方も多いです。

 

・入社のハードルが低い業態

離職率が高い分、常に人が入れ替わっている状態です。
(どこの会社も同じかもしれませんが…)

 

管理会社との理想的な付き合い方

①面倒臭いお客様にならないこと

管理会社は、騙そうとしているわけではありません。

・表現の仕方が悪かったり
・対応の仕方を知らなかったり

対応が悪いというよりは 「知らないからできない」ケースが多いです。

 

あまりにも目につく場合は、管理会社のホームページにある「お問い合わせ先」から直接メールしましょう。

 

本社の総務部が管理しているので
本社で大騒ぎ→上司ブチギレ→改善
という流れで、対応が良くなるケースも多いです。

 

②最後の一手は管理会社が持っている

管理会社は最後の一手として

「契約をこちらから解除する」

というカードを持っています。

 

これをやられてしまうと、管理組合は一気に窮地に立たされます。

管理会社から契約打ち切りを告げられたマンションは、他の会社も敬遠します。

その状況で、一から管理会社を探さなければなりませんから。相当大変です。

 

最後に…

管理会社とはうまく付き合いましょう。

うまく付き合いつつも、きちんと業務の線引きをすることが大切です。

先ほどお伝えしました以下の部分。

①管理組合の事務仕事を代行する仕事
(お金や保険の管理、書類作成など)
②設備点検などに利益を上乗せする
③提携先の工事会社に工事案件を斡旋して、斡旋料をいただく
④管理組合から直接、工事を受注する
⑤管理組合から直接、コンサルティングサービスを受注する

ここで言うと、①と②はお願いする。

④と⑤は管理会社の言いなりになるのではなくて、ご自身でインターネットで検索してみると良いです。

 

私のところに来られるお客様の中には

「金額が妥当かどうか見て欲しい」
「この内容で管理会社にお願いして良いか見て欲しい」
「他社と比較検討したい」

といったご相談も寄せられます。

 

・自分で調べるのが大変…
・疑問はあるんだけど何を調べたらいいか分からない…
・どうしたらいいか分からないけどモヤモヤする

という場合は遠慮なくご相談ください。

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shinichiroyutoku.hateblo.jp

それでは、今日も素敵なマンションライフをお過ごしください!