アパート・マンションお悩み相談室

マンション管理専門の一級建築士が、住まいのトラブル事例や解決策を呟きます。

【必見】マンションお悩みランキング第1位「騒音トラブル」を解決する方法。

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湯徳慎一郎です。

今回はマンションお悩みランキングをすると毎回第1位になってしまう…

「騒音トラブル」について解説していきます。

 

騒音って解決できないと思っていませんか?
実は、そんなことはありません。

 

これからお伝えする「騒音トラブルのメカニズム」を理解すれば、かなり日常生活は楽になります。

『子供の足音は何dBで…』みたいな専門的なお話は一切しませんので、ぜひお悩みの方はご覧いただけますと幸いです。

 

 

主な騒音の原因

騒音の原因を大きく分けると8つに分類されます。

子供の騒ぎ声(エーン、ギャー)
ペットの鳴き声(ワンワン)
③壁、床を叩く音、振動(ドンドン、ドスンドスン)
換気口から発する異音(ゴー)
換気扇から発する異音(カンカン、カラカラ)
電気設備から発する異音(ブーン)
水道から発生する異音(ギョアァァァ、キュッ)
排水が原因で発生する異音(ボタボタ、ダラダラ)

このうち、①〜③人為的に発生する騒音
④〜⑧設備の不具合が原因で発生する異音です。

あなたがお悩みの騒音問題は、このうちどれに該当しますか?

 

騒音が起きやすい状況とは?

以下の点が挙げられます。

・暴れたり叫んだりする生き物がいる

これは、当たり前ですよね。

 

・上階、下階に人がいない

上下階に「空洞」があると、音の波は広がりやすいです。
空室のみならず、仕事で日中不在にしている、などの場合も該当します。

例えば

3階の方が日中の騒音で悩んでいる。
でも4階は仕事&学校で不在。
音の発信源は5階で子供が走り回る音だった。

というケースもあります。

 

・24時間換気の不具合

築10年前後または25年前後のマンションで起きやすいトラブルです。

・換気扇がうまく回らない
金物が外れてしまっている
・換気ダクト(管)の中に湿気が溜まって管の中で水が垂れる
・そのポタポタ音が上階に響いてしまう

などが原因で起きます。

 

・窓や扉の不具合

築15年前後または25年前後のマンションで起きやすいトラブルです。

玄関扉や窓、網戸が古くなって、きちんと閉まらず、他のお部屋の騒音が室内に入ってしまうパターンです。

 

騒音トラブルにおける1番の問題点

1番の問題は、騒音の発信源になっているお部屋

「自分が原因だと気づいていないこと」です。

特に、24時間換気などのマンション設備で不具合が起きている場合そのお部屋内には、騒音・異音が発生しません

そのため、上下階・隣住戸から指摘されて、専門家が見て『はじめて不具合が起きていることが分かる』のです。

 

騒音の発信源を突き止める方法

突き止める方法は2つあります。

 

1つ目:音響のプロに調査してもらう方法

30万円ほど費用がかかります。
ただ、原因を突き止められれば、対象者に調査費を請求することも可能です。

ネックとなる部分は2つ。

費用を一時負担しなければならないこと
・仮に騒音の原因を突き止めたとしても、今後しこりが残る可能性が高いこと

その点から、あまり現実的ではないかもしれません。

 

2つ目:アンケート作戦

こちらは、私がマンション管理会社に勤めていた際に行っていました。
かなり効果的だったので、もし管理会社か、理事会にやってみてほしいと相談してみてください。

①騒音に悩んでいる家の上階、左右、下階2部屋にアンケートを配る

②騒音に「悩んでいない」と答えたお部屋が該当しているケースが高い

③騒音の原因が他のお部屋と的外れな場合も該当しているケースが多い
例:他のお部屋が「ドンドン」という騒音で悩んでいるのに、1部屋だけ「ブーン」という騒音が聞こえる、など。

④このお部屋が「怪しい」と絞れたところだけ注意喚起文書を管理組合名義で投函する。
※文書は全戸配布しないこと。全戸配布すると全員が他人事に感じてしまうため。
個人を特定するような表現はNG。あくまでも全体向けの文書を特定の個人のみに送るイメージ。
※投函するときは、理事会の許可を得ましょう。

 

※アンケート作戦時のポイント

全住戸に対して「騒音で悩んでいますか?」と問いかけるアンケートは「取らない」
理由は、騒音で悩んでいる住戸が乱立すると、どこが音の発信源か絞れないためです。

 

誰でもできる騒音対策(トラブルに巻き込まれないために)

いつ、あなたが騒音トラブルの加害者になってしまうか、分かりません。
トラブルに巻き込まれると一気に住みづらくなります。
以下の3点は必ず確認するようにしましょう。

 

利用規約、細則などの「決まりごと」は必ず確認しましょう。
楽器は禁止されていませんか?

②お子様がいるご家庭では、防音マット、防音カーペットを利用しましょう。
騒音対策には、床(天井)コンクリートの厚さを太くするしかありません。ただしこれは現実的には無理です。ホームセンターで購入して床に敷きましょう。

③壁や床は叩かない。
どんなにイライラしても物には当たらないこと。暴力反対です。

 

騒音が起きやすい物件の特徴

以下に該当する場合は、騒音トラブルが起きやすいので、十分ご注意ください。

 

・築10年前後
・築25年前後
この2つの時期は、マンション設備の不具合が起きやすい時期です。

 

・駅近物件(駅徒歩15分以内)
このエリアは単身者とファミリー世帯が混在しやすいエリアです。
ファミリー世帯の生活音が、単身者のストレスになって、騒音トラブルに発展するケースも少なくありません。

 

・幼稚園、小学校、中学校の近く
・ファミリータイプマンション
ベッドタウン
基本的に、子供が多く生活するエリアは騒音トラブルに繋がりやすいです。

 

・駅、消防署、病院、警察署の近く
駅の音やサイレンがうるさいのは、しょうがないです。

 

騒音で悩まないために大切なこと4選

騒音は原因が特定されることで負担が8割減ります。

要は、原因がわからないから、不安になる・気になる・悩むという形で、ご自身の中で「騒音」を大きく捉えてしまいがちなのです。

原因が分かれば、解決に向けて動き出すこともできますし、理解することで「しょうがないと割り切る」こともできるのです。

では最後に、騒音で悩まないために大切なことを4つ、お伝えして終わりにします。

 

1 マンション内の他の居住者とコミュニケーションを持つ

総会に出席する程度でOKです。
隣近所に誰が住んでいるか知るだけで、騒音の負担は3割減ります

 

2 家族仲良くしましょう

騒音で悩む方の多くは、何かしらの家庭内トラブルを抱えています。
夫婦の会話がないのもトラブル要因の1つです。
その影響で、些細な物音にも敏感に反応しがち。
夫婦仲良く、家族仲良くを心がけましょう。

 

3 やることを見つけましょう

やることがない、暇を持て余している方ほど、些細な物音に反応しがちです。
好きなことをするなり、仕事をするなど、自分の意識を向けられる何かを見つけるようにしましょう。

 

4 騒音問題は、管理会社では解決が難しい

騒音トラブルは「個人の所有物に起因する問題」です。
本来、管理会社は間に入ることができません。
それでも対応してくれるのは、管理会社が良心的な証拠。

ただし、管理会社ができることは

・注意喚起文を配布する
・アンケートを配るくらいです。

問題を解決するのは、音を出している当事者です。

解決へ向けて、管理会社と理事会をうまく活用して、素敵なマンションライフを手にしてくださいね。