アパート・マンションお悩み相談室

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大規模修繕に蔓延るリベートの実態|裏金はなぜ、無くならないのか?

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湯徳慎一郎です。

 

今回は業界の裏側大暴露シリーズ「リベート」について切り込んでいきます。

 

マンション業界の「闇」とも呼ばれるリベート。

裏金が不当な形で、コンサルタントや一部のマンションオーナーに流れる。
そんなことが本当にあるのか…?

 

元・工事会社でリベートを支払う立場に、そしてリベートを受け取る会社にいた私が「ホントのトコロ」をお話していきます。

 

 

リベートとは?

工事金額の一部が管理会社や設計事務所コンサルタント不透明な形で流れること。

業務委託費などの名目で扱われるケースが多いです。

 

これは、工事会社と管理会社や設計事務所コンサルタント「工事金額の◯%を支払う」と事前に取り決めしていることが多いです。

 

例えば、工事会社とコンサルタントの間で「1000万円の工事で10%をリベートとして支払う」という取り決めがある場合は、 900万円が工事にかかるお金+工事会社の利益 100万円はコンサルタント会社へ支払う費用(100%利益) となります。

リベートの相場は一般的に2%〜10%です。

 

リベートを受け取るのは、コンサルタントだけとは限りません。
管理組合の役員など、一部のマンションオーナーが工事会社を介して受け取るケースもあります。

 

なぜ、リベートが問題になるのか?

リベートと談合はセットで扱われることが多いです。

マンションの大型工事は入札形式で行われます。

流れは以下の通りです。

 

業界新聞等で大掛かりに公募する
(関東、関西など、広範囲で募集をかける)
 ↓
数社から見積を取得する
 ↓
③必要に応じて、ヒアリング会を実施
(直接見積参加会社からお話を聞く)
 ↓
決定

 

これが一見、フェアに行なわれているようで、裏では談合が組まれていることが問題なのです。

 

具体的には

・公募の条件を出す段階で、コンサル側が事前に発注先を決める

公募の段階で、談合を組む

応募する会社は、受注する会社を除き全て「ダミー」

特定の1社に発注されるよう、コンサルタント側がマンションオーナーを「誘導」する。

これら4つのいずれか、もしくは全ての形で「仕組む」のです。

 

結果として、数十万、数百万円というお金がコンサルタント費用とは「別に」コンサルタント会社へ流れる

これが問題として取り上げられるのです。

 

なぜ、リベートを取るのか

リベートを受け取る側のメリット

価格競争が活発化しており、正規の価格ではコンサルタント業務を受注できなくなっています。

コンサルタント業務だけでは、管理会社も設計事務所コンサルタント会社もやっていけないんです。

 

さらに、金銭的なメリット以外に、もう1つ大きなメリットがあります。

コンサルタント側が一番恐れることは、工事が失敗に終わることです。

大規模修繕工事など、数千万円単位でお金が動くものを、自分たちが全く知らない、聞いたこともない会社が受注して失敗した場合、コンサルタントはそのリスクを負いきれません。

だから、過去に自社案件で実績があり、信用できる会社に工事をお願いしたいんです。

だったら初めからそうやって言えばいいのに。

 

リベートを支払う側のメリット

工事会社としては安定的に仕事が欲しい。

でも多くの工事会社はどうやって工事を獲得していいか分かりません

 

一方で、管理会社やコンサルタントはいっぱい仕事を持っている

 

そこで、コンサルタント売上の一部を払って仕事を「紹介」してもらうことができれば、食いっぱぐれることはない

 

そのため、コンサルタントと工事会社の間では、Win-Winの関係に「一応」はなっているのです。

 

ただし、工事会社の利益よりコンサルタントに支払うリベートの方が高くなるケースも多く、一概にWin-Winとは言えないのが正直なところです。

 

リベートが業界全体に与える影響

コンサルタントと契約している会社に、案件が集中してしまいます。

そのため、新規で参入したい工事会社が入る隙はありません

 

案件が集中する工事会社は、営業会社と化し、中小規模の工事会社へ丸投げします。

営業会社はどんどん利益を搾取する。

工事金額はどんどん高くなる一方で、実際に手を動かして働く職人、建設会社の利益は上がらない

 

結果として、工事費が高騰が続く中で、果たして金額に見合った工事ができているのか?というところに繋がってしまうわけです。

 

リベートは無くなるのか?

これは、無くならないと思います。

本来、工事会社がコンサルタントに対してお金を払うことは、必ずしも悪ではないです。

 

例えば、工事会社が

コンサルタントに対して、営業支援をしてもらう
・一部の業務をコンサルタントに委託する

これは、工事会社が自社の利益を上げるために必要だからお願いすることであって、いちいち、お客様にお伺いを立てる必要はありません。

むしろマンション業界以外に限らず、どの業界でもあることです。

 

本当に問題なのは、以下の2つです。

①実態がないのに、お金を搾取すること。
②それを隠そうとする体質。

 

フェアな形でやっています感を出しながら「実は裏でお金をもらっているんですよね」的な見え方をしてしまっている、それに気づかれてしまっているのが問題です。

 

だったら『最初からコンサルタントが工事会社を推薦します』という形にすればいいんです。

 

搾取されないためにできること

①リベートを取らないコンサルタント会社と取引する

ただし、コンサルタント費単体で見ると、リベートを取る会社と取らない会社では100万円単位で金額に差が出ます。 一概に金額だけで判断できなくなる点は理解しましょう。

 

コンサルタント会社にリベートを受け取らない、と誓約書を書かせる
③工事会社にもリベートを支払わない、と誓約書を書かせる。

罰則規定を設けておくこともお勧めします。

 

④そもそもコンサルタントを入れない
⑤自分たちで工事会社を選定する

このやり方が一番確実です。
コンサルタントを入れなければリベートは発生しません。

ただし、特定のマンションオーナーが権力を持つような、工事会社の選び方は避けましょう

マンションオーナーがリベートを受け取るケースもあります。

 

リベートを無くすために

管理会社や設計事務所コンサルタント会社は、一見、不透明に見えるお金の流れを、きちんと説明したほうが良いと思います。

 

例えば、コンサルタントが工事会社からお金をもらうのであれば

・営業的な支援を行っている

・工事会社が行う業務をコンサルタント会社が代行する

・提案書を工事会社に代わって、お客様にプレゼンする

・お客様との窓口に立って調整業務をする

このような「実態」があるべきです。

 

実態があって、お金を適切に受け取っているのなら、全然問題ないです。
そうやってオフィシャルに言えばいいのです。

 

後は、

・談合しないと特定の会社に発注されない
・リベートという形でしか利益を得られない

それはコンサルタント会社の説明不足、実働不足、営業力不足です。
もっと実力をつけましょう。

 

最後に

実は、リベートの有無。工事の検討が始まった時点で、すでに決まっています。

大規模修繕工事」という議題が上がった瞬間に、リベートは見込まれているのです。

 

コンサルタント入れると決まった瞬間
リベートを取られる可能性50%

コンサルタントへの発注が決まった瞬間
リベートを取られる可能性99% or 0%

コンサルタント会社によって取る会社と取らない会社が分かれるため

 

つまり、議題に上がったタイミングが、専門家に相談するタイミングです。

 

私も管理組合様から委託を受けて、ご説明させていただく機会をいただいております。

リベートを目前で回避した事例なども、お伝えすることができます。

 

・今後の方向性に不安を感じたり
・このまま理事会で検討を進めて大丈夫かな?

 

と思ったら【無料】でお話を伺いますので、遠慮なくご相談ください。

shinichiroyutoku.hateblo.jp

それでは、今回はこの辺で…